2022 12Dec.

ソウルフード!?のひとつである卵料理。
少し冷ますのがブルガリア流

「冷蔵庫に何もない……」と思っていたけど、卵はあった!そんなときに、ブルガリア人の頭に浮かぶ料理が「ヤイツァ ポ パナギュルスキ」(яйца по панагюрски, yaitsa po panagyurski)だそうです。日本人の私からすると、卵かけごはんのようなジャンルで、ブルガリア人のソウルフードだと思っています。

この料理は、パナギュリシテ(Панагюрище, Panagyurishte)という街のレシピが発祥と言われているためこの名前が付けられました。しかし不思議なことに、そこに住んでいる方に聞いてもこのレシピの歴史の話は聞けませんでした。というのも、1948年に国営企業として設立されたバルカンツリスト(Балкантурист, Balganturist)が、外国から旅行客を呼ぶために、限られた地域で食べられた料理を伝統的なブルガリア料理として発案し、その後、国中に浸透させるというプロセスを踏んだからでした。現在の有名なブルガリア料理のひとつですが、古くからその土地に根付く日本の郷土料理とは、また違う位置づけであることがわかりました。

作り方はとても簡単で、すべての工程を合わせて15分くらいで作ることができます。お湯に、酢と塩を入れてポーチドエッグを作り、それを白いソースの上に乗せます。この白いソースは、ヨーグルトとチーズとにんにくを混ぜたものです。そしてバターをフライパンで溶かし、「チェルヴェン ピペル」(червен пипер, cherven piper)を混ぜたものをかけます。これは直訳すると「赤いコショウ」になりますが、日本でいうパプリカパウダーのことです。この赤い色が、白いソースとポーチドエッグの上に乗ると、きれいに映えてとても食欲をそそります。より見た目をよくしたい場合は、パセリを刻んで上からかけます。

今回は、友人宅にお邪魔して、白チーズと黄色チーズを2種類のソースに分けて作り、食べ比べをしてみました。白チーズを使ったソースの方は、強い塩気が卵ととても合っていました。黄色チーズの方は、温かい卵の熱で少しチーズが溶けていて、こちらもおいしかったです。

ブルガリアでは熱々の料理をお客様に出すのは失礼にあたります。外気温がマイナスのような寒い冬でも関係なく、通年の常識です。熱すぎるとすぐに食べることができないので、お客様がすぐ食べられる温度で出すのが、ブルガリアのおもてなしの精神だそうです。ヤイツァ ポ パナギュルスキは、冷たいヨーグルト入りのソースと出来立ての卵を混ぜるので、熱々ではなくなり、ブルガリア人的に完璧な温度でお客様にお出しできる、この文化ならではの料理だと思います。


  • ヤイツァ ポ パナギュルスキの材料

  • ポーチドエッグを作る

  • 2種類のチーズそれぞれに、
    にんにくとヨーグルトを混ぜる

  • 溶かしバターとパプリカパウダーを混ぜる

  • 白ソースの上にポーチドエッグ、
    その上に赤いバターをのせる

  • 完成!

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