2017 9Sep.

ソフィアっ子の心の山~ヴィトシャ

首都ソフィアの市民にとって、一番身近なリゾート地がヴィトシャ山です。その標高2000メートル級の山懐に抱かれた都市ソフィアには、豊かな恩恵が降り注いでいます。例えば夏、海から遠く暑いソフィアにとって、6月まで山頂に残る雪は目に美しく、眺めるだけで清涼感を感じさせてくれます。また、カラッと乾いた気候のおかげで日陰は比較的さわやかですが、それが高地の森の中ともなれば、そこはもう絶好の避暑地です。一方、冬はソフィアの街から一番近い本格的なスキー場としても親しまれています。

このヴィトシャ山はバルカン半島で最初の自然公園になったところで、よく整備されており、本格的なトレッキング、親子連れにも人気のピクニックやキャンプ、はたまた車でちょっとランチを持って行って楽しめるベンチのコーナーもあり、人々のいろいろなニーズにこたえています。

共産時代、たくさんの工場が稼働していた頃は街の空気が悪く、ソフィアっ子たちは少しでも時間があると「きれいな空気を吸いにヴィトシャに行こう」と連れ立って出かけたそうです。彼らが宿泊した「ヒジャ(山小屋)」の多くは閉鎖されてしまいましたが、その周辺は今でも市民の憩いの場として愛されています。テレビ塔のある見晴台「コピトト」からはソフィア市が一望できます。「デンドラリウマ」は植物園で、標本として植えられた様々な植物を観察できるほか、水場の周りではバーベキューもすることができます。水の流れない川「ズラトニ・モストヴェ」には不思議な丸い石が並んでいますが、これは「岩塊流」という昔の氷河の名残だそうです。

土日祝日はとても混雑してしまうので「今日は一日天気がいい」という平日に訪れたいところです。山へ登る道にはところどころスーパーもありますし、何より山のかなり入ったところまで路線バスで上ることができるので、焼き立てのパンとジュースやビールなどの飲み物、それにランチのお供をもって出かけられる、本当に気軽なリゾート地なのです。


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