2026.09
ブルガリアは世界のローズオイル生産量の約40~50%を占める世界有数の生産国です。特に「バラの谷」と呼ばれるカザンラク周辺は、冬は比較的温暖で夏は涼しく、春の気温上昇も穏やかなため、バラはゆっくりと成長し、豊かな香りを蓄えることができます。
さらに、水はけの良い土壌と適度な降雨量も、高品質なバラを育てる条件となっています。ここで栽培される淡いピンク色の小ぶりなダマスクローズは、世界最高級のローズオイルの原料として知られています。ローズオイルやローズウォーターは香料として、花びらは食用としても利用されています。
バラの収穫時期は5月中旬から6月中旬までの約1カ月間で、暑い年には収穫期間が2週間ほどに短くなることもあります。朝露が残る早朝は最も香り成分が豊富なため、収穫は日の出前から始まり、通常は午前9時頃までに終わります。
この時期には、カザンラク周辺の村々で週末ごとに収穫祭が開かれます。私が訪れた日は、ロゾヴォ(Розово, Rozovo)村で開催されていました。「ロゾヴォ」はブルガリア語で「バラ」を意味し、その名の通り周囲には一面のバラ畑が広がっています。人口約1,000人の小さな村ですが、この日は多くの観光客が訪れ、バラ摘み体験や伝統音楽、郷土料理を楽しんでいました。収穫祭では、村人たちが伝統衣装をまとい、昔のバラ摘みや結婚式の様子を再現。地元の人たちがこの日のために準備を重ねてきたことが伝わってきて、とても温かい気持ちになりました。
私もバラ摘みを体験。ぬかるんだ地面とバラのトゲに気を付けながら、一輪ずつ丁寧に花を摘み、かごへ入れていく作業は、想像以上に地道で腰にもこたえました。普段は香水や化粧品の香りとして何気なく触れているバラですが、その高級な香りの裏には、早朝から畑で働く人々の汗と手間があることを実感しました。
ロゾヴォ村の看板。バラが描かれている
バラ畑
昔のバラ摘みの様子を再現
ローズウォーターを作ってその場で販売していた
バラ畑が解放され、バラ摘みを体験
収穫したバラ