2026.03
ブルガリア南東部・ブルガス近郊に位置している「アクヴェ・カリデ(Акве Калиде, Aquae Calidae)」は、古代から現代まで利用されてきたブルガリアの歴史的な温泉地です。また、それを温泉遺跡博物館として再生させた複合施設でもあります。
この地は紀元前1000年頃のトラキア人の時代から、鉱泉の存在が認識されていたとされています。後のローマ時代に「アクヴェ・カリデ」と呼ばれるようになりましたが、その名称はラテン語で「温かい水」を意味しています。
ローマ時代には、温泉と浴場を中心とした保養地として広く知られていました。本格的なテルマエ(公衆浴場)が整備され、軍人や行政官、旅人たちが疲れを癒す場所として利用されていました。その後も、ビザンツ帝国、中世ブルガリア王国、オスマン帝国の時代を通じて使われ続け、約2000年にわたる連続した利用の記録があり、非常に長い歴史を持つ温泉地です。
現在は、かつての浴場跡や城壁、給水設備などを見学することができます。また、遺跡に隣接するオスマン帝国時代の浴場を修復した建物内では、プロジェクションマッピングによって神話を題材とした映像展示を鑑賞することができます。さらに、新しく建てられた施設では現代的なプールも楽しむことができ、歴史と現代の温泉文化が共存する場所となっています。
博物館に隣接する公園では、かけ流しになっている温泉水を無料で汲むことができます。そこには大きなボトルを持参したブルガリア人が訪れており、私もその列に並んで温泉水を汲むことができました。 この歴史的な温泉地が、今もなお日常生活の中で親しまれていることを実感しました。
浴場の遺跡。左奥がオスマン帝国時代の浴場を修復した建物
遺跡の説明
修復した建物内は浴室を再現。青くライトアップ
天井に投影されたプロジェクションマッピング
オスマン帝国時代のハマン(公衆浴場)の様子を再現
この場所で発掘された出土物